セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 〜清掃活動をしよう〜


 金曜日の放課後。

 今日は、愛花ちゃんと交代した、清掃活動の当番である。

 王明学園では、日々の掃除は、業者に外注しているけれど。半年に1回ほどのペースで、こうした清掃当番が回ってくるのだ。
 掃除の経験が皆無では困るという、教育的観点からかもしれない。

 今回、私が担当する裏の林は、清掃当番の中でも、ハズレである。
 林に不法投棄されたゴミ拾いが主な仕事だけれど、鬱蒼と繁っている林の中は暗いし、服も汚れてしまう。

 しかも、林なのできっと、虫もいる。私は虫が大大大嫌いなのだ。


「よろしくお願いします。」

 このエリアの清掃当番は二人だ。

 私が、もう一人の担当と思われる男子に声をかけると、男子は、戸惑った様子を見せた。

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