セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「冊子の方は、家で見て、ざっくり覚えておけ。どこかで落とすと危ないからな。
 トルコには、名前と住所のリストだけを持っていくようにしろよ。落とさないよう、身につけるポーチに、畳んで入れておけ。」


――えええ!?
 この大量の、杵築の親戚関係や取引先などを、全て覚えろと?


「ちょ……。勘弁して下さい!
 それでなくても、このところ、受験勉強があまりできてないのに。」

「王明に行けばいいだろ。今の成績なら十分だ。」
「勝手に人の進路を決めないで下さいよ!」

 みんなホントに、酷すぎる。


 出発直前。

 私は杵築から、杵築の親戚や関係者について、覚えているかどうかのテストを受けた。

 それは何とかクリアしたものの。私の方の関係者と合わせると、ものすごい数の土産を買わなければならないので、想像しただけでげっそりする。


 楽しみと不安を織り交ぜながら、いよいよ、修学旅行。――トルコに出発だ。

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