セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 〜エフェソスに行こう〜


 トルコに来た。

 長いフライトですっかりヘロヘロの私の気分とは対照的に、現地はとってもいい天気。
 地中海性気候というのだろうか、空の青色が日本よりもずっと濃く感じられる。


 今回の旅では、10日間かけてトルコを周遊するスケジュールとなっており、宿泊するホテルは、全て最高級ランクで予定されている。
 物価が安いので、それでも大して高くはないのだ。

 外国のホテルは汚いところもあるけれど、初日に私たちが宿泊したところは、とても清潔だったので安心した。


 トルコの人たちは親日で、ガイドのアポさんも、とても友好的だ。

 何でも、1890年に、和歌山沖で沈没したトルコ船を日本人が献身的に救助したときのことを、トルコの人はまだ語り継いでいるらしい。


 そのことがあったので、1985年のイラン・イラク戦争の際、イランで48時間後の無差別爆撃が予告されたとき。
 イランに取り残されて絶体絶命になった日本人達を助けるために、トルコの救援機が現地に向かい、日本人を助け出してくれた。

 トルコの人は、助けたことを恩にきせることはせず、むしろ、100年前の恩をようやく返すことができた、と感じているそうだ。


 トルコと日本の絆は、トルコでは有名な話だというのに、私はちっとも知らなかった。


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