セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「あと、これです。」

 言いながら、シルクのネクタイを差し出した。大量買いした物の中から、青石兄の雰囲気に合っている物を選んだつもりだ。


「ホントは、トルコ石も考えたんですけど。ほら、青石だけに、身に付けるのは青い石~、なんちゃって。」

「考え直してくれて良かったよ。」

 蔑むような視線が、私に100のダメージを与えた。


「――まあ、でも、ありがと。」

 青石兄は、何だかんだ目玉ストラップとネクタイを気に入ってくれたようである。

 日頃からお世話になってるだけに、喜んでもらえたのならば、何よりだ。
< 432 / 615 >

この作品をシェア

pagetop