セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜勉強合宿に行こう〜
夏休みには、今年も勉強合宿がある。
宿泊先は去年と同じだけれど、3年生の合宿日程は2年生より先で、夏休み初日からの三泊四日。私たち生徒会メンバーは、強制参加だ。
勉強合宿では、毎年恒例のイベントとして、ビンゴ大会がある。
今年からビンゴ大会の景品担当となった田上先生から、生徒会の方に、「高校生の喜ぶ物の見当がつかないから、買い出しに付き合って欲しい」との要請があった。
明日から合宿だというのに、まだ用意していないなんて、信じられないけれど。終業式の後に、杵築、羽村、愛花ちゃん、私の四人が付いていくことになった。
田上先生の車は大きく、五人で乗っても余裕がありそう。
「カッコいい車だー。」
と愛花ちゃんは喜んでいるが、いやしかし。この外車、教師の給与で買える車ではない。
――まさか、無理な借金を?
田上・浪費家疑惑を抱えながら、私は車に乗り込んだ。