セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 さすがに、この話は「ない」と言うことで意見が一致し、見合いの話は流れた。

 それなのに。

 後日、相手から我が家に直接、「格式張った見合いじゃなくて、お友だちと一緒に事務所見学に来たらどうか。」いう趣旨の手紙が届いた。


 高校3年で、色々忙しい時期なのでと、親から断ってもらったけれど。そのしつこさが、記憶の隅をかすった。

 断罪後のエンディングの1つに、悪役令嬢の百佳が、親子ほど年の離れた禿げオヤジと、泣く泣く結婚させられる、というのがあったはず。


――たぶん、この人だ……!


 私は、未来の旦那様候補に関して、釣書を見て知った限りの情報を、メモに書き出してから、机の奥に封印した。

 どうか、このメモが役に立つ日が、来ませんように。

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