セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜神戸に行こう2〜
――えーと、つまり?
よく分からないので、状況を整理することにした。
まず、第一に。
佐々木くんは、私が杵築を意識していると誤解している。
いつも癒やし系の佐々木くんが、なぜか真顔だったから、もしかしたら怒っているのかもしれない。
『全力で応援するって言ったのに。
俺の杵築くんに粉をかけるなんて、ひどいじゃないか。』
たぶん、そういうことだろう。
第二に。
佐々木くんは、大逆転を狙っている。
こんな俺でも、というネガティブな発言から推測するに、最近、杵築とうまくいっていないのかもしれない。
『泥棒猫の黒瀬を傷つければ、杵築くんの気持ちが、戻ってくるかも。俺の大逆転だ!』
たぶん、そういうことだろう。
――がーん。
佐々木くんに、そこまで嫌われていたなんて、気付かなかった。むしろ仲の良い方だと思っていただけに、結構ショックだ……。