セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 部屋の中には、見たところ既に30人以上の人がいる。

 こういう場には来たのは、初めてなので、パーティの趣旨や、どのようなスタンスで臨んだらよいのかが、いまいちピンとこない。

 杵築も見当たらないし、お土産を渡すタイミングも分からないので、私はキョロキョロした末、受付あたりにいる人にお土産を渡した。

 しかし、私の名前を聞かれることもなく、これじゃあ、誰からのお土産なのか、分からないのではないだろうか。


 テーブルの反対側で、やはり不安そうにしている愛花ちゃんを見つけた。
 他に話す相手もいないので、愛花ちゃんと一緒にいようと、そちらに向かっていると。

 私より先に、紗和子さんのお父さんが愛花ちゃんに近付いて、「今日は、日本の恥を晒さないようにな」と話しかけた。

 明らかな嫌味なのに、愛花ちゃんは「頑張りますね」とニッコリ大人の対応で受け流し、紗和子さんは心配そうに見つめている。
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