セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「免許とれたんだ、おめでとう~。」
「サンキュ。お前、行きたいとこは?」
 
 行きたいところかあ。秋のお出かけといえば、やっぱり……。


「果物狩り!」 


――11月上旬なら、何の果物があるだろう。リンゴかな。それとも、ブドウか、キウイかな?


 三杉は、「あー、果物狩り。」と、スマホで情報を探し始めた。近場で良いところがあるだろうか。


「果物狩りなら、良いところを知っていますよ。」

 いつの間にか、さっきまで遠くにいた羽村が、そばにきていた。

 羽村は、「私が、助手席で案内しますから」と申し出てくれたけれど、三杉は、「いや、ナビあるから……。」と遠慮している。


「この季節なら、林檎が良いだろう。」
「やったー、りんご狩り!」
「うん、いいね。」

 杵築、愛花ちゃん、佐々木くんも、集まってきた。


「あー、もう日程、決まってるから。」

 三杉と私では、今週土曜日に行くという話に決まっていた。


 しかし、幸運にも。佐々木くん以外は全員、都合を付けられるようなので、予定どおり今週土曜日に、5人で果物狩りに行くことに決定した。

 皆でドライブなんて、けっこう楽しそうなのに。三杉は、「お前ら、暇人かよ……。」と呟いていた。

< 544 / 615 >

この作品をシェア

pagetop