セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 ~果物狩りに行こう~


 週末の土曜日。

 三杉が、自宅まで迎えに来てくれた。これから、他のメンバーを順に車で拾った上で、果物狩りに出発することになっている。
 私はとりあえず、助手席に乗り込んだ。

「カッコいい車~。もしかして新車?」
「ああ。」

 親に買って貰ったのかと思ったら、三杉も杵築らと同様、投資で運用益を得ているらしい。

 初心者マークは付けないのかと聞いたら、三杉は嫌そうに、しぶしぶ付けていた。たしかにちょっとカッコ悪いけれど、これを付けるのは法令上の義務だからね。


「事故のないよう、慎重な運転をお願いしますね。」
「初心者マークが、車に合わないな。」

 待ち合わせ場所で、車に乗り込んできた羽村や杵築は、乗せてもらう立場だというのに、全く遠慮がない。

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