セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

「清掃活動中、自分があなたを襲ったことにされている、と訴える男子の証言も確認しました。
 彼は、あなたの狂言を信じた第三者に脅されたそうで、ひどく震えていましたよ。」

 あの、虫を虐めてた男子のことだよね。私、襲われたなんて嘘、一言も言ってないですけど――??


「さらに……。」

 もう、聞きたくない。何だか全てが、悪い方、悪い方に結びついている。
 先生たちは、この状況で、反省の色がない私の無表情すら、ふてぶてしいと思っているみたい。


 私は、なるべく冷静に、一つずつ私の言い分を述べたけど。

 もともと書面に記載されていた内容は、全くの捏造ではない。

 実際にあった一部の事実をベースに、事実に反する内容を巧妙に混ぜて記載してあるため、反論しようとすると、なぜか苦しい言い訳のように聞こえてしまう。
 
 先生たちが、一番問題視しているのは、愛花ちゃんに対する虐め行為だけれど、『してない』ことの証明なんて、どうやったらいいのだろう。


――この日以降は。

 私の言い分も踏まえつつ、引き続き調査を行うということで。最終判断が出されるまで、私は自宅待機を継続することになったのだ。
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