セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
※※※※


 2月初旬に入り、皆はもう、卒業パーティーのためのドレス選びを始めている頃だと思う。

 来週には、最後の審問があり、それを経て処分が決定すると聞いている。結果次第では、卒業パーティーに出ることはおろか、進学さえも危ういだろう。


 両親は日に日に怒りを募らせており、毎日のように「もう我慢できない。抗議に行く!」と言っている。両親を宥めるまでの一連のやりとりにも、何だか疲れてきた。

 
 鬱々とした時間を過ごしていた、ある日。青石兄が、訪ねてきた。

 ラインがいきなり、既読にならなくなったので、生きてるかどうか確かめに来たのだという。


「今は、在校生の誰とも連絡を取ったらダメなので……。」
「僕は、高等科じゃないから、関係ないでしょ。」 

――!

 言われてみれば、たしかに、そうなので。私は、青石兄を応接室に通し、一連の事情を説明することにした。

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