セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
※※※※
青石兄を見送った後のポーチには、小さな雪が舞い込んでいる。
雪を降らす先を追うように、目線を上げると、暗くなり始めた空には、下弦の月も見えた。
――空は、繋がっているけれど。
学校の皆――、杵築に羽村。三杉、佐々木くん、瞳ちゃん達に、愛花ちゃんは。今、この雪を見ているだろうか。今、何をしているのだろうか。
私は、そっと手を伸ばし、舞い降りてきた雪を受け止めた。手のひらの雪は、一瞬のうちに、肌に溶けていく。
それは、私から逃げていった、幸せみたいにも思えるけれど。
――まだ。終わってはいない。
いよいよ、来週が、最後の審問。皆と卒業できるチャンスは、まだ残っている。
家に入ろうとして、ふと振り返ると。
門戸には薄く、雪が積もり始めていた。
青石兄を見送った後のポーチには、小さな雪が舞い込んでいる。
雪を降らす先を追うように、目線を上げると、暗くなり始めた空には、下弦の月も見えた。
――空は、繋がっているけれど。
学校の皆――、杵築に羽村。三杉、佐々木くん、瞳ちゃん達に、愛花ちゃんは。今、この雪を見ているだろうか。今、何をしているのだろうか。
私は、そっと手を伸ばし、舞い降りてきた雪を受け止めた。手のひらの雪は、一瞬のうちに、肌に溶けていく。
それは、私から逃げていった、幸せみたいにも思えるけれど。
――まだ。終わってはいない。
いよいよ、来週が、最後の審問。皆と卒業できるチャンスは、まだ残っている。
家に入ろうとして、ふと振り返ると。
門戸には薄く、雪が積もり始めていた。