セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
本編最終話
私は、中山優奈、18歳。
私には、とても変わった友人がいる。
彼女と初めて会ったのは、初等科3年生で、同じクラスになったときのこと。学園の中でも指折りの家柄のお嬢様で、いつ何どきも表情の変わらない彼女を、この頃の私は、他のクラスメートと同様に恐れていた。
そんな関係性に変化が訪れたのは、初等科4年生の、二分の一成人式のときだ。
発表のグループ分けをしている最中。彼女は、おずおずと「私も、合唱に入れてもらえないかな……」と言ってきた。
合唱のメンバーは、色んなグループの寄せ集めだったし、人数が増えてダメなわけない。
それなのに、すごく不安そうな口調でそんなことを言ってきた彼女は。見た目とは異なり、むしろかなり、気の弱い女の子だと知ったのだった。
話をしてみれば、彼女は、とても気さくで、少し鈍くさくて。家柄を自慢することなど一切ない。実は努力家で、勉強を頑張っていることも知っている。
私は、いつしか、そんな彼女と友だちになれたことを、誇りに思うようになっていた。