婚約破棄、のち、幸せ
「アメリア、お前との婚約を破棄する。」


 真夏の暑い日、学園の庭でそれを告げられたときの衝撃、そして心臓が潰れそうな思いは、今でも忘れられません。
 意地っ張りだった私は、何のショックも受けていないような顔で、平然とそれを承諾しました。


 けれど、寮の自室に戻った後、涙が勝手に溢れてきました。あまりにショックで、まだ気持ちがついていかず「悲しい」という気持ちすら湧いてこないというのに、見開いている目から、涙が勝手に流れ落ちるのです。
 こういうことが本当にあるんだな、と私は他人事のように思いました。

< 1 / 11 >

この作品をシェア

pagetop