悪役令嬢に転生したらクズ皇太子も転生者でした!?~思わない四角関係に困っています~
 それは冤罪だ。アンジェリアが噓をついているだけで実際のエイミーである自分は、その日は友人達と一緒に居た。

「あの……盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、私はその日。友人のカルラ様とミレーナ様と一緒に食堂でお喋りしていたわ」

「そ、そんなの噓です。私は見ましたもの。エイミー様がクラスに入って行って、私の机で何かをしているところを」

 アンジェリアは目を潤ませながらエイミーを噓呼ばわりした。

(はぁっ? そこまで目撃しているなら、何故その時に言わなかった? というよりも、よくそんな堂々と噓が言えるわけ?)

 萌は彼女の虚言癖にはことごとく呆れてしまった。
 それに騙されるアホもアホだが。

「それでしたら、なおさら違います。人違いじゃないですか? ねぇ~そうよね? カルラ様、エミーナ様」

 萌は二人に助け舟を求める。彼女らが証言しているくれたら、この事は丸く収まるはずだ。しかし、予想外の事を言われる。

「えっ……そうでしたっけ?」

「確かに……昨日エミーナと誰か居たような気がするのだけど」

 はぁっ~!?
 萌は二人の言葉に啞然とする。2人は昨日の記憶が曖昧になっていたからだ。

(おいおい……もうボケたか? ボケるには早すぎるだろう!? えっ? まさか強制力の仕業? それとも主人公補正?)

 頭の中はパニックになる。まさかこんなところで裏切られるとは思わなかった。
 見ている限り本人達はわざと言っている訳ではなさそうだが。
 もしかして原作通りにするために強制的に忘れさせられているのだろうか? 
 二人共困惑した表情をしているし。

「ほら、見ろ。やっぱり噓をついているのはエイミーの方ではないか」

「だ、だから違いますって。ちょっと、ちゃんと思い出して。昨日デザートの話をしたじゃない?」

 うーんと唸るカルラとミレーナ。これだとエイミーがやった事になってしまう。
 せっかく友達の出来て、アリバイだって完璧だと思ったのに、これだと意味がない。
 もちろんアリバイだけのために友人作りをした訳ではないけど、少しは協力してくれてもいいのにと萌は困り果てる。
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