恋神様に願いを込めて
「はー!?高身長のサラサラストレートで声も良くていい匂いがして、一途で優しくて勉強も運動も抜群な人のどこが理想が高いのよ!てかまだまだあるし!」


「全部だわアホ」



…わかっている。


少女漫画に夢を見過ぎたせいで、自分の求める理想が高いことくらい。



…だけど私は諦めない!この世界のどこかにきっと理想ぴったりの王子様がいるって信じているんだから!



「ねえ美羽は知ってる、恋神様?」


「へ?何それ」



前で固まっていた女子のグループが急に話を振って来て、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。



「ほら、旧校舎あるじゃん?取り壊そうとすると事故が相次いで結局残されたまんまのとこ。あの旧校舎裏に小さな祠があるみたいで、そこに住んでるって噂の恋神様!」


「え、何それ初めて聞いた」


「恋神様に恋のお願い事をすると、一週間で叶えてくれるんだって!でも選ばれた女子しか叶えてもらえないみたいで、運も必要なんだよー」


「私は頼んでから一週間が過ぎたけど、何にも起きなかったー」


「私も!」


「やっぱただの噂なのかなー?」


「恋神様…」
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