恋神様に願いを込めて
「晃のことが大好きなの…っ」



晃は間抜けな顔で固まったかと思うと、その顔はみるみる赤くなっていった。



「は、はあ…っ!?お、おまえ、そんな簡単に大好きとか言うなよ…!どうせあれだろ、幼なじみとしてとか言うんだろ!」


「違うもん…。男の子としてだもん」


「…え?い、いや、俺は騙されない…。そうだよ、あいつはどうしたんだよ!付き合ったんだろ!?」


「レンくんは断ったよ。晃が好きだから付き合えないって」


「な…っ、だって…なんで俺なんだよ…?美羽の理想と全然正反対だろ…?」


「…たしかに晃なんて私の理想にかすりもしてないけど、それでも理想なんて関係なしに晃のこと好きになっちゃったの。付き合うなら晃がいいと思ったの」


「で、でも…」



まだ何か言いたげな晃の襟元を掴んでぐいっと引き寄せ、キスをした。



「これでもまだ信じない?」



晃はこれ以上赤くできないくらいの真っ赤な顔で、ぶんぶんと首を横に振った。



「…俺もずっと前から美羽が大好きだよ」



観覧車の頂上で告白とか船の上で夜景を眺めながらの告白とか、昔からずっと憧れていた。


でも、そんなのじゃなくていい。


理想通りじゃなくても、どんな場所でもどんな言葉でも、好きな人から告白してもらえる現実が一番幸せだから。



「私も、大好き!」



だから、そんな幸せをこれからも晃と二人で作っていこう。


理想じゃない、現実の世界で。
< 21 / 95 >

この作品をシェア

pagetop