恋神様に願いを込めて
旧校舎裏の祠にいる恋神様に、恋の願い事をすると一週間で叶えてくれるってやつ。


でもそれは選ばれた者だけらしい。



ロイ様と付き合えたら…なんて、そんなことできるわけない。


そもそも私みたいな地味女のお願い事を神様も聞いてくれるわけないだろうし…。





「…どうして来ちゃったんだろう」



放課後、薄暗い旧校舎裏の祠の前に、釣られるようにして来てしまっていた。


たとえ0.00001%の可能性だとしても、願ったらもしかして…とかそういう気持ちに引っ張られたのだ。



「えっと、あの、初めまして…」



中も見えない、どこか不気味な祠にそっと話しかけてみるが、もちろんなんの反応もない。


まあいい。せっかくここまで来たんだから、願掛けだけでもしておこう。



「推しと付き合いたいです」



手を合わせて念を送るが、やっぱり何も起きない。



…もしかして、今の私ってかなり痛い女?


ファンとして推しと付き合いたいと思うことはあるだろうけど、さすがに願掛けまでする人なんてあまりいないだろうな…。


ふぅと小さくため息をついて帰ろうとした時だった。
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