恋神様に願いを込めて
私も廊下に出てある人を探すけど、見当たらない。


人の間を縫って校舎裏に行くと、佐野くんはいつも通りそこに座っていた。



「あ、永野先輩。こんにちは」


「…さっきの、佐野くんよね?」



佐野くんは言われることがわかっていたのか、ふっと優しく微笑んだ。



「バレちゃいました?」


「わかるに決まってるでしょ。…とても助かったわ」


「いやいや、僕は何もしてないですよ。助ける前に先輩は一人で解決しちゃった。…やっぱり先輩は強くてかっこいいですね」



違う。たしかにあの一言に助けられた。


どうすればいいのかわからなかった私に、佐野くんは道を作ってくれた。



「僕、実は入学式の日から先輩のこと知っているんです」


「…え?」


「入学式の日、不良に絡まれていた新入生を助けてあげていましたよね?」


「…ああ、そんなこともあったわね」



入学式の日に高二の不良生徒が新入生に絡んでいたから、新入生を引っ張って体育館に連れていってあげたのを思い出す。
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