恋神様に願いを込めて
先輩はそのまま救急車で運ばれていき、その日の夜、亡くなったことがわかった。


その時僕は初めて先輩が病気だったと知った。それも、余命宣告をされていたほどの重病だと。



もしもそのことをもっと早く知っていたら、先輩を一人になんてさせなかったのに。


もしも僕がもっと早く見つけていたら…。



考え出したらキリがなかった。


先輩がいなくなり、冬休み明けの学校はその話題でいっぱいだった。だけどそれも時間が経てばすっかりと落ち着いていた。



僕だけがいつまで経っても先輩を忘れることができなかった。



「彼女は僕を、ただの仲のいい後輩だと言いました。…それでもよかった。冬休みが明けても、春になっても、何年経っても先輩の隣にいるのは僕がよかった。それだけだったのに…」



いつか先輩が好きになる人は僕であってほしかった。


そのためにはいくらでも頑張るつもりだった。



それなのに、先輩は突然僕の世界から消えてしまった。



「僕は今でも、誰よりも恋先輩を愛しています」



これからも僕が愛し続けるのは先輩ただ一人な気がした。


それくらい先輩は僕の中で大切で忘れられない人。忘れてはいけない人。
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