お前の全てを奪いたい【完】
 だけど、無理矢理閉じ込めるなんて事をしたら、それこそ喜多見と同じになっちまう。

 環奈には自らの意思で、俺の傍にいて欲しい。

 俺の傍に居たいって、思って欲しいんだ。

「……万里さん……私、嬉しいです。万里さんにそこまで想ってもらえて、嬉しい……」
「環奈……」
「……万里さん……私と一緒に、一聖くん……いえ、彼の元へ、行って貰えませんか? このままでは駄目だから、もう一度会って、きちんと話をしたい。私の想いを伝えたい。だけど、一人じゃ不安だから……万里さんに、付いて来て欲しいです…………駄目、でしょうか?」

 環奈のその言葉に、俺の胸は熱くなる。

 俺を必要としてくれている事が、何よりも嬉しかった。

「駄目な訳ねぇだろ。つーか、言われなくても付いてくつもりだったしな。お前を一人になんかしねぇよ。アイツは何しでかすか分からねぇからな、どんな事があっても、俺が守ってやる」
「……万里さん、ありがとう……。頼りにしてます」

 こうして俺たちは話し合いの末、喜多見の元へ向かう事になった。

 アイツは必ず環奈が連絡をしてくると思っていたのか、彼女が会いたいと言ったら自宅へ来いと言ってきた。

 俺に目配せをした環奈はそれに頷き、これから行く事を伝えた。

 けどまあ、アイツの考えが甘かったとするなら、俺が一緒だというところだろう。

 喜多見の部屋の前に着いた俺たちは、ひとまず環奈だけが来たように見せる為、俺は見えない所に立って身を隠すと、環奈が呼び鈴を鳴らす。

 するとアイツは下卑た笑いを浮かべながら玄関のドアを開けた。

「ようやく来たか、環奈。どうだ? 謝る気になったか?」
「……一聖くん……」
「ま、とりあえず中に入れよ。中でゆっくり、話し合おうぜ」
「や、やだ……」

 そう言いながら環奈の腕を掴んだ喜多見。

 それと同時に身を隠していた俺がすかさず出て行き、

「汚ぇ手でコイツに触んなよ!」

 喜多見の手を払い除けて環奈の身体を胸に引き寄せると、そんな俺の登場が予想外だったようで、もの凄く驚いた表情を浮かべながらわなわなと身体を震わせていた。
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