お前の全てを奪いたい【完】
「……環奈」
「……万里、さん……」
「悪ぃけど、今日は、優しく出来ねぇかもしれねぇ……余裕が、持てない……」
「……ッ、大丈夫、万里さんになら、何をされても……構わない……。貴方の事が……好きだから……」
「そんな事言われたら、ますます加減、出来ねぇかも――」
「――ッあ……」

 環奈の身体を抱きながら一旦身体を起こすと、着ていた服を一枚ずつ脱がせていく。

「……あの、自分で……」

 脱がされるのが恥ずかしいのか、俺の手を止めて自分で脱ぐと言うけど、

「駄目だ。俺が脱がす」

 恥ずかしがっている彼女の姿が可愛くて、俺は環奈の制止を振り切ると、そのまま脱がせていく。

「……ッ」

 そして、上下共に下着のみを纏った姿になった環奈は頬を紅く染めながら、俺から視線を逸らした。

 そんな環奈をよそに、俺は自身の服を脱いでいき、彼女と同じように下着だけを纏った姿になる。

「――ほら、いつまでも恥ずかしがってんなよ。もう知らねぇ仲じゃねぇんだからさ」
「……ッあ、ん……」

 ソワソワと落ち着きの無い環奈の身体を後ろから抱き締めた俺は、チュッとリップ音を立てながらうなじや耳朶に口付けを落とす。

「ん、……っや、……それ、くすぐったい……ッ」
「擽ったい? 気持ちイイの間違いじゃなくて?」
「っん、……」

 環奈が声を漏らす度、身体を震わす度、もっと声が聞きたい、俺を意識して欲しいという思いからついつい虐めたくなる。

「ほら、ここはもうすっかり反応してるぜ? こんなに立たせて、気持ちいいって事だろ?」
「ッあぁん!」

 ブラジャーを捲り上げた俺は固く尖っている胸の頂に指を這わせながら、環奈の身体を刺激していく。

「気持ちいい、だろ?」
「ん……ッ、きも、ち……いい……です」
「環奈――」
「――ッん、はぁ……」

 顎を掬い上げ、唇を重ねた俺たちは再び貪るように口付けを交わす。

「ん、ん……ッ」
「……ッかんな……」

 キスだけじゃ物足り無くなった俺は指を下腹部から下へと這わせ、下着の上から環奈の秘部をなぞるように触れると、

「ッあぁん、や……そこ、だめ……ッ」

 布越しでも分かる程に濡れているから恥ずかしいのか、慌てて俺の手を掴んできた。
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