Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「クロードさんっ」
私はテキストをむぎゅっと握り締め、決意を秘めた視線を彼へ向けた。
「ん?」
「フツツカモノですが、これからもなにとぞよろしくお願いしますっ」
(大丈夫です、セックスレスでも全然平気。気に病まないでくださね。私も、ありのままのクロードさんを受け止めます。そういう夫婦だってありだと思います。間違っても襲ったりなんてしないから、どうか安心してください)
言いたいことのすべてを声に出したら彼のプライドを折ってしまいそうなので、後半はテレパシー。
むむむ、とほとんど睨むみたいにして目に力を込め、伝われと祈る。
伝われ、伝われ……
すると、一瞬きょとんと瞬いた彼は、すぐに眦を緩めた。
お、伝わった?
「やっぱり今読んで欲しいってことか。OK、別に遠慮しなくていいのに」
私の手からテキストが再び奪われていき、がくっと肩が落ちる。
ちっがーう!!
心の中で地団駄を踏んで叫んでいると、ぶはっと楽し気な笑い声が弾けた。
「くく、……はいはい、わかってるって。忘れてないから安心しろ」
「ひどいっなんで笑っ――ん?」
忘れてないから??
爽やか笑顔の大サービス、さらにはぐりぐりと頭まで撫でられ、クエスチョンマークが飛びかう。
「忘れてないって、なんのことですか?」
「何って、誕生日だろう? 今度の日曜日」
「? 誰のですか?」
「茉莉花の」
え? 私? 今度の日曜、って1月……
「……あ、あぁっ!! 忘れてました……」