Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

“行き場のない少年少女”……そうか、そういうことか。
家の中に居場所がなくて繁華街へ出て、そこで富田と知り合ったんだ。

「けど、まともに授業受けてないくせにやたら頭はよかったな。気づいてない先生の方が多かったけどさ。天才型、っていうのかな、今ならギフテッドって呼ばれてたかも」

嫌味な数学教師が意地悪で出題した難関高校の入試問題をたった数秒で解いてみせた、と聞かされて、驚く一方で妙に納得しちゃった。
若干30歳であんな大きな会社のトップだし、何か国語もペラペラに話せちゃうし、彼ならあり得なくもないって気がする。

考え込んでいると、催促するようにわざとらしい咳払いが聞こえた。

「さぁ次は僕が聞く番だよ茉莉ちゃん。一体何があった? どこから各務の名前が出てきたんだ? 本人から聞いた、ってことでもなさそうだね?」

「……うん、それが……実はね」

そうして、私は訥々と今日あったことを話し始めた。

マンションに刑事が訪ねてきたこと、2週間前に見つかった他殺体が富田だったこと、富田が“かがみ”という人物と連絡を取っていたこと、富田の知り合いの中に各務蔵人という少年がいたこと、富田と一緒に写った写真から各務とクロードさんが同一人物だと気づいたこと……

15年前の事件に巻き込まれた一人だからか、話はすぐに通じて。
彼は「なるほどね」と何度も深く頷いた。

「ずっとわからなかった謎が解けたよ。つまり各務が、富田とおじさんを結ぶキーマンだったわけだ」

? ん??

「え、ごめん、どういうこと?」
“各務と富田”ならわかるけど……

眉を寄せる私に、学くんはなんでもないことのように「あれ、覚えてない?」と聞いてきた。
「何度かキズナで見かけたよ、各務のこと」

キズナにいた? クロードさんが……?

< 196 / 402 >

この作品をシェア

pagetop