Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「あぁ富田は関係ない。関係ないが、真犯人と繋がってる可能性が高い。だから俺は、富田を探していた」
「ど、どういうことですか?」
私が詰め寄ると、クロードさんは一瞬怯み、気まずげに視線を逸らした。
「……すまない、今はこれ以上話せない」
は? って俄かに気色ばむ。
「何ですかそれ……ここまで話しておいて、逃げるんですか!?」
「今はまだ、知らない方がいい。すべてが終わったら、ちゃんと話すから。もう少し待ってくれないか」
宥めるように言って、頼む、と首を垂れるクロードさん。
サラリと流れた黒髪に隠されて、その眼差しは見えない。
ただ、その滑らかな頬の咬筋がわずかに動き、彼が歯を食いしばっていることだけはわかった。
――俺のせいで、先生は狙われた。死ななきゃならなかった。
後悔か、怒りか、哀しみか。
きっと私の想像よりずっと大きな何かを、彼は抱えている。
それが、彼に口を噤ませている。
これは絶対話してくれないな。
固い意志を感じ取った私は肩を落とし、ふらふらと再びソファへ腰を下ろした。
とにかく、富田じゃない真犯人が別にいることは間違いなさそう。
そしてクロードさんは、そいつを見つけるために富田を探し出し、コンタクトを取っていた。
自分が殺したって思うほど、お父さんの死に責任を感じているから、だから自分で真犯人を突き止めようと――と、そこまで考えて、ヒヤリとしたものが背筋を這った。
彼が私と結婚した理由って、もしかして……?