Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
周りに気を遣わなくていいからお友達が孫を連れて遊びに来てくれるのだ、とかなんとか弾んだ声を聞きながら、困惑が止まらない私。
いやいや待って、呑気に自慢してる場合?
「おばあちゃん、こんなところ一体1日いくらするか……」
青ざめながら声を上ずらせる私とは対照的に、当の本人はきょとんとしている。
「あら、まーちゃん旦那様から聞いてないの?」
え? 旦那様って……クロードさん?
「どういうこと?」
「ここを手配してくれたの、彼なのよ? 入院してすぐくらいに、わざわざお見舞いに来てくれてね、費用はすべて自分が持つから移りましょうって」
入院して、すぐ?
記憶を遡った私は、彼におばあちゃんのことを伝えた夜のことを思い出す。
そういえばどこの病院だって聞かれて、教えた。教えたけど!
信じられない、まさかこんな部屋……。
「あらいやだ、私てっきりまーちゃんは知ってるものだと思ったのに」
困惑したような声にギクリとして、急いで笑顔を取り繕う。
「う、うん、最近彼忙しいみたいで、あまり顔を合わせてなくて……」
「そうなの? じゃあくれぐれもまーちゃんからもお礼言っておいてね? ほんと、あんなに優しくて素敵な旦那様とまーちゃんが結婚してくれておばあちゃん嬉しいわ。リハビリ頑張って、ひ孫の顔を見るまでまだまだ長生きしますからね!」
ひ、ひ孫っ……
「も、もちろん長生きしてもらわないと困るよ。あははは……」
い、言えない。
これから離婚届をもらいに行くところだなんて、絶対言えない。