Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「あなたの外出は禁止されています」
「は、はい?」
「必要なものがあれば、スイートルーム専用のメイドへお申し付けください。室内に連絡用のタブレットがございますので」
「は? え? 何それ……どういうことですかっ?」
抗議の声をあげながらも、頭の片隅ではなんとなく理解してた。
クロードさんだ。
私が余計なことできないように、ここに閉じ込めるつもりらしい。
つまりこの人は、SPってことか。
ほんっとに勝手なんだから!
「困ります、私行かないといけないんです!」
「なりません。お部屋にいていただきます」
「嫌です、どいてくださいっ!」
「ダメです! キングのご命令は絶対です!」
「そんな横暴なっ――……ん??」
キングって、誰?
まぁいいか、空耳でしょ。
イライラしながらカバンの中にスマホが入っていることを確かめる。
一旦部屋に入って、中から警察に連絡しようかしら。
監禁されてるって言えばなんとか……と、物騒な計画を頭の中で練り上げていたら。
「あら、もう起きたのね。遅くなっちゃってごめんなさい」
軽やかなソプラノが聞こえた。目の前の男が「雪代様!」と慌てて姿勢を正し、廊下の隅へと退く。
そのおかげで視界が開け、廊下の向こうから大人っぽいブラウンのワンピースを着こなした女性が歩いてくるのが見える――高橋さんだった。