夫に私を殺させる方法
 色々と間違い過ぎている。娘のように思っているマリちゃんに呼ばれるのであればともかく、初対面の不審なピエロにお義父さん呼ばわりされる筋合いはない。


「違うでしょう。」
 マリちゃんが窘めるように口を挟むと、私の方を見ながら言葉を続けた。


「すみません。私が伊藤さんのことを、うちの親が亡くなって以来、親代わりのように良くして頂いている人だと伝えましたので、彼は先走ってしまったようで。」
「そ、そうか……。びっくりしたよ。」
 色々な意味で。


「服装も。彼がこのような格好をしていることには理由がありまして……。」
 マリちゃんは恥ずかしそうに俯いた。


「そうか……。」
 理由があるのか。私は気を取り直した。それはそうだ。思えばこのような格好をするのに、何らの事情もないはずがない。

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