処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
第5章
 食べ終えたカレーライスの食器を片付けて、流しで洗い始める。

「石鹸良い匂いするわね」

 石鹸からは花の香りがかすかにする。どの花かは分からないが、どこか品のある香りだ。

「手伝おうか」

 リークがやってきた。普段なら気持ちよく手伝ってもらっていただろう。

「自分でやってみるわ」

 しかし今日は、最後まで自分でやってみたいという気持ちの方が勝っていた。なのでリークには申し訳ないが彼の申し出は断ったのだった。

「気を付けて」
「ええ」

 スポンジを泡立てて、カレールーがこびりついたお皿を洗う。泡が沢山あふれ出して、その度に良い香りが鼻腔へと伝わって来る。

「よしっと」

 洗った後は水で流して泡と汚れを全て取り、綺麗にした後は布でふいて、食器置き場に置く。

「出来た…」

 ちょっと自信が無いのでリークにチェックしてもらうと、彼からOKのお墨付きも得る事が出来たのだった。

「ちゃんとあってる」
「良かった…」

 さて、今から何をしようか。するとリークがたばこのような、細長い筒のようななにかを流しのスポンジにつけている。

「なにをしてるの?」
「こう…石鹸の泡を付けるとだな」

 リークが細長い筒を口に加えて息を吐くと、大きな泡が出てくる。

「シャボン玉?」
「そうだな」
「…綺麗ね」

 照明の光が当たって、キラキラとシャボン玉が光っている。まるでガラス玉か水晶のようだ。

「ずっと眺めていたいくらい」
「確かに」
「リークはよくやっていたの?」
「幼い頃に家族から教えてもらったんだ」
「そうなのね…」

 そしてぱっといきなりシャボン玉は消えた。

(消える時は一瞬よね…)
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