迷宮階段
幸せの絶頂
 お父さんに頼めばいくらでもお小遣いをもらえる。小言を言うお母さんもいないから、いくらでも好きなように遊ぶことができる。こんなに幸せなことってあるだろうか。

 学校へ行けば友人たちがすぐに私の机の周りに集まってきて、華やかな雰囲気になる。
 私が「ちょっとトイレ」と言えばすかさず数人が一緒についてくる。

「真美ってすごいね」
「真美のこと尊敬してる!」

「それって新作コスメ? さすが真美!」
 学校でもてはやされるようになればなるほど、それと比例するように家の中は汚くなっていった。誰も掃除をしようとしないから当然だった。

 でもまぁ、いずれお父さんが家政婦さんでも雇ってくれるだろうから、気にすることもなかった。
 汚い家が嫌なら、帰る時間を遅らせればいいだけだ。

「今日の放課後はどこに行く?」
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