月ノ蝶、赤縄を結ぶ
 首元で何をされたのかよく分からないけど、紅くんが後で確認してって言うならそうする。

 それは私にとってきっと良いこと・・・なはず。

 もしかしたらただ単にからかいたいだけなのかもしれないけど。






 そしてその夜、言われた通りに確認した私は悶絶することとなった。

 首につけられていたのは、どこからどう見てもキスマーク。

 なんでいきなりそんなことしたの!?と問い詰めたら「俺がいなくてもこれを見れば寂しいどころじゃなくなるでしょ」とあっさり返され、ぐうの音も出なかった。

 だって紅くんの言うことは間違っていないから。

 きっと私は首元に触れたり見ただけで赤面して紅くんのことでいっぱいいっぱいになると思う。

 そこまで考えていたんだ。

 私が思っていたよりも紅くんは策士らしい。






 1週間後。

 遂に紅くんと水族館に出かける日がやってきた。


 3月も中盤に差し掛かり徐々に暖かくなってきたということで、新たに買ってもらった春服に腕を通す。

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