月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 なんの憂いもない顔でにこーっと笑っている。



「何でここにいるの?」



 表情的に紅くんたちに何かあったわけじゃなさそう。



「実は討滅に行ってる間茜ちゃんを頼んだよって紅に言われたんだよね」

「そうなんだ・・・?」



 それが家を訪問することとどう繋がるんだろう。

 護衛は撫子と長春がいるし、家事は鴾がやってくれるし。

 真意がいまいち掴めず首を傾げる私の手を天ちゃんがぎゅっと包み込んだ。



「ってことで遊びに行こ!」

「えっダメだよ。外は危ないよ」



 日暮組の残党がここら辺に潜伏していないとは限らないし。



「護衛もいるのに?」

「それでも、今紅くんたちは頑張ってるのに私たちだけが遊ぶのは違うんじゃない?」

「じゃああたしたちも苦しんで大変な思いをしなきゃいけないの?それは紅が望むこと?」



 紅くんの名前を出されて言葉に詰まった。
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