トツキトオカの切愛夫婦事情 ―Special episode―
結婚生活を始めてから約九カ月の間に、一線を越えるようなことはなにもなかった。でも、彼の優しさをまったく感じなかったわけじゃない。
私がソファでうたた寝してしまった時はブランケットを掛けてくれたし、帰宅時間が偶然合った日は、スーパーに寄りつつ一緒に帰ってくれたりもした。
本当に些細なことだけれど、彼の優しさを感じる瞬間はいくつもあった。私も同じように思いやりを返して、それを積み重ねていけばいつか愛に変わるんじゃないかと期待していた。
でも、慧さんに特別な感情は生まれていない。ディナーもプレゼントも、全部形だけ……。このまま結婚生活を続けていても、なにも変わらないんじゃないかという虚しさを覚える。
私たちは運命の相手ではなかったのだと、そろそろ認めるべきなのかもしれない──。
切ないほど綺麗な初めてのプレゼントを見下ろし、私はひとり思いを巡らせていた。
私がソファでうたた寝してしまった時はブランケットを掛けてくれたし、帰宅時間が偶然合った日は、スーパーに寄りつつ一緒に帰ってくれたりもした。
本当に些細なことだけれど、彼の優しさを感じる瞬間はいくつもあった。私も同じように思いやりを返して、それを積み重ねていけばいつか愛に変わるんじゃないかと期待していた。
でも、慧さんに特別な感情は生まれていない。ディナーもプレゼントも、全部形だけ……。このまま結婚生活を続けていても、なにも変わらないんじゃないかという虚しさを覚える。
私たちは運命の相手ではなかったのだと、そろそろ認めるべきなのかもしれない──。
切ないほど綺麗な初めてのプレゼントを見下ろし、私はひとり思いを巡らせていた。