悪魔と涙と甘い恋。
60%

キミの隣に


それは、夏のとある日の朝のこと。



「気になるの?」


視界を隠すように、あたしの顔を覗き込む衣吹さんと目が合う。


「うん、ちょっとね」


居間にある大きなテレビ。

箸を止めて、あたしはそれに釘付けになっていた。



その内容は“今晩、ペルセウス座流星群が最も多く見られる”と言うものだった。



「神楽は見たことある?流れ星」


あたしを挟んで左側。

衣吹さんは身体をこっちに寄せて、身を乗り出す。


「まぁ」

「え、あるの!?」

「だいぶ昔にですよ」


興奮気味の衣吹さんを耳で聞き、もう1度テレビを見る。

そこには去年の映像が流れてて。

何個も何個も飛んでいく流星群はとても綺麗だった。



「いいな……」


ポツリとそう呟いた。

ほぼ無意識。


なのに2人はしっかりあたしの声を聞き取ったみたいで、同時に名前を呼ばれたんだ。


< 277 / 487 >

この作品をシェア

pagetop