悪魔と涙と甘い恋。
「えっ?!」
困惑して、思わず2人を交互に見ると、神楽さんが「どうぞ」って言って衣吹さんに譲った。
「見ようよ!流星群!」
キラキラと瞳を輝かせながら、衣吹さんの顔が近付く。
「庭だったら夜遅くても問題ないし。ね?」
庭で見る流れ星かぁ……。
少しだけ想像したら、いいなって。
ちょっぴりワクワクした。
「うんっ!見よ?」
「やった〜決まり〜〜!」
満面な笑みの衣吹さんが、何かを思い出したかのように「あ、」と声を漏らす。
「神楽は何を言おうとしてたの?」
「お嬢と同じ事ですよ」
「え、じゃあ神楽も一緒に見よーよ?」
「……それは命令ですか?」
「そうだね。2人だと寂しいじゃん?」
神楽さんの口から小さいため息が聞こえた。
だけど、この様子からしてたぶん、衣吹さんには聞こえてないと思う。