ホウセンカ
おまけのおはなし「君はまだ友達」
「今度の合コンさ、めっちゃ可愛い子連れてくからね」
「マジで?そりゃ楽しみだなぁ」

 合コンの下見という建前で、ななみんを食事に誘った。でも俺の下心には一切気づいていなくて、普通に男友達と遊んでいるような感覚なんだろうな。

 ななみんは俺の友達と同じ高校出身。その縁で最近知り合ったんだけど、最初に話した時から何となくいいなぁって思っている。
 明るいしノリがいいし、少し気の強そうな顔も好みなんだよね。

「大学で仲良くなった子でね、マジ天使だから。いつもニコニコして明るくて気が利くし、すごくいい子だよ」

 カウンターに並んで座っているななみんの横顔を、思わずじっと見つめる。友達のことを話すその表情が、なんだかやたら可愛く見えて。うん、やっぱりいいなぁ。
 
「そっちのメンツはどんなん?」
「こっちも、目玉商品ありますよ」
「マジ?」
「顔とスタイルと色気、120点です。まぁ、服装が派手で変わったヤツなんだけどね」
「変わってるのかぁ。でも見た目いいなら、アリかもな」
「てかさ。ななみんは、どんなヤツがタイプなの?」

 今の流れはめちゃくちゃ自然だろ。ナイス俺。

 ななみんは、口に入れたパスタをモグモグ咀嚼している。そして、唇の端についたミートソースをペロリと舐め取った。やば。思わずドキッとしちゃったし。食べている時の口元って、なんか性的な感じしない?
 
「んーそうだなぁ。長男じゃなくて……家が自営業じゃなくて顔は塩顔イケメンでオレ様じゃなくて一途でノリが良くてエッチが上手い人、かな」

 ……何気に条件が多い。

 俺は兄ちゃんいるし、両親は公務員だし、顔はイケメンかどうかはおいといて塩系だし、オレ様ではない。好きになったら、もちろん一途。ノリは軽いけど、浮気したことないもん。

 あとは、エッチが上手い……かぁ。こればかりは、やってみないとなんとも言えなくない?でもそれ以外はクリアしてるし、エッチして合格なら、脈アリなのでは?

「ねぇってば」
「ふぁいっ!?」

 悶々としていたら、軽く肘鉄を食らった。

「かけるんの知り合いにいるかって聞いてんの。私のタイプ」
「え?」
「だからさ、長男じゃなくて家が自営業じゃなくて顔は」
「あぁ、はいはい。塩顔イケメンでオレ様じゃなくて一途でエッチが上手い男、ね」
「そう!いる?てか、さっき言ってた、今度の目玉商品の人はどうよ」
「え、えっと……桔平は……あ、そいつ桔平っていうんだけど。概ね当てはまってるけど、ノリはめちゃくちゃ悪い、かな」
「ノリ悪いのかぁ……。まぁ、それを打ち消すだけの魅力があればいいけどさ」

 ノリの悪さを打ち消す魅力……。あぁ、あるよなぁ、あいつは。なんであんなに無表情でぶっきらぼうで口が悪くて派手で小難しいことばっかり言ってて絵ばっか描いてて陰キャなヤツがモテるわけ?世の中、理不尽じゃん。

「でも、かけるんって友達多いっぽいし、選択肢は広がりそう。仲良くなれて良かったよ」
「そ、そう?」
「うん、合コン仲間だね!これからよろしく~!」

 ななみんは、まったく悪気のない笑顔で笑う。……まぁ、まだ知り合ったばっかりだしね。

 君はまだ友達。でもいつか、俺を男として意識してくれるといいな。


***おわり***
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