籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
これで終わりかと思いきや、裕一くんはガーゼを切って傷口にあて、その上から白い医療用テープを貼っていく。

絆創膏すらいらない程度なのに、いくらなんでも大げさすぎる。


しかし、「ちゃんとやらないとボクが十座サンに怒られますから」と言って、丁寧に手当てをする裕一くん。


「できました!」


裕一くんから手鏡を渡されて見てみると、頬に貼られたガーゼの処置だけで見ると、まるでだれかに殴られたかのような顔だ。


「あ…ありがとう」


ひとまずお礼を言っておく。


そういえば、殴られたといえば――。


「…玲は大丈夫なの?十座に殴られてたから…。それに、わたしのせいで腕や足にもケガさせちゃったし…」

「ああ〜、それなら大丈夫っすよ。ボクたちのケガなんて、つばつけとけばすぐに治りますから!」
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