籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
もしここでわたしが駆けつけなくて、お兄ちゃんに万が一のことがあったら…。

きっとわたしは…後悔してもしきれない。


週に一度の約束が――。

なんて言ってる場合じゃない。


そんなことを考えるだけ、今は時間の無駄。


…大丈夫。

RULERのメンバーに気づかれなければいいんだから。


お兄ちゃん、待ってて…!


〈…わかりました!すぐに向かいます!〉


わたしは服を着替え、最低限の荷物を持つと部屋を出た。


音を立てないように忍び足で。

でも、なるべく急いで。


そうして、わたしはだれにも気づかれることなく寮を抜け、初めて1人で不動月学園の外へ出た。


大通りへ出てタクシーを拾い、はやる気持ちをなんとか押さえながら病院へ。



「…お兄ちゃん!」


お兄ちゃんの病室へ着くと、前と違って静かだった。
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