籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
『そうだな。壮馬――お前の兄貴も強いからな』


たしかに、玲はお兄ちゃんのことを“壮馬”と呼んでいた。

それに、お兄ちゃんは玲の名字まで知っていた。


『RISE』と『RULER』。

お兄ちゃんと玲は、敵対する暴走族の副総長同士。


だけど互いの名前を呼ぶ2人からは、そんな忌々しいしがらみというものは感じられない。


2人は、暴走族の副総長として敵である互いの名前を知っている程度の関係だけ…?


――本当に、それだけ?


「お兄ちゃん。もし知っていることがあるなら教えてほしいのっ…」

「どういうことだ?」

「わたし、玲のことを想うと、胸がぎゅっと締めつけられるの」

「…美鳥。もしかして、それって――」

「うん。わたし、玲のことが好き。憎きRULERの副総長を好きになるだなんて…自分でも間違ってると思ってる。…でも、この気持ちに嘘はつけない」
< 384 / 440 >

この作品をシェア

pagetop