籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
わたしが路地裏でチンピラに絡まれていたところをたまたま玲が助けに入ってくれた。

それが、最初の出会いだというのに。


「それにRISEの総長は、RISEを捨てて逃げ出した裏切り者でしょ…!?」


その裏切り者が、…玲?


お兄ちゃんの今の話をすんなり信じることなんてできない。

でも、お兄ちゃんが嘘をついているとも思えない。


「いきなりこんな話をされたら、驚くのも無理ねぇよな…。そもそも、2年前にあんなことが起きなければ、きっと今はこんなはずじゃなかったんだ」

「…あんなこと?」


そうつぶやきながら、わたしはお兄ちゃんの顔をのぞき込む。

そんなわたしの頭をなでながら、お兄ちゃんは語り出した。


――わたしたちを襲った悲劇を。



* * *



『RISE』が創設したのは、わたしが中学1年生のとき。
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