籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
わたしは涙をこらえる潤んだ瞳で、キッと玲を睨みつけた。


「どうして、あなたの言葉が信じられると思うの…!?だってあなたは…、RULERの副総長じゃない!」


もしかしたら、逃がそうとしていたのはただのパフォーマンスで、本当のところはわたしを試していたのかもしれない。

逃げる意志があるのかないのか。


敵の言葉なんて信じない。

ここでは、信じられるものは自分だけ。


「…いいから早く出ていって!!」


わたしは玲に背中を向けた。


どれだけ耳障りのよい言葉を並べたって、そんなものはただのまやかし。

お兄ちゃんをあんな目にあわせたRULERの仲間の話なんて信用ならない。


もう…あなたはわたしの中のヒーローなんかじゃない。

あなたは、――わたしの敵。
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