悠久の絃 2
絃の治療は思うように進まず、僕たちも焦りを感じていた。


治療はしなきゃいけない。でも、過呼吸や発作が起きればそちらの処置が優先になる。



治療は決まって夜に予約を入れている。
日中、僕が顔を見に病室に行くと怯えたように身体を震わせる。

僕が話をしようと試みるけど、やはり乗り気ではない。


それに、ベッドを起こしたらどう?と提案しても、角度をつけると診察台みたいで嫌だと泣かせてしまった。


だけど、治療からは逃れられない。


「辛い」と口に出している訳では無い。でも、いとの心がだんだんとすり減っているのは感じられていた。


僕はまた、わからない。






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