悠久の絃 2
分かれ道でまた明日と手を振って、残り5分程の道を歩く。

悠はいるのかな。律先生はいつまでいるんだろう。進くんの断わり方はあれで良かったのかな。傷つかない、わけないよね。 もっとちゃんとした言い方があった、?リハビリ辛いって言ってたし、その前にあんなに傷つけて、私、やばいよね。進くんだって勇気が要るはずだっただろうし……


小麦と話している間は忘れていたことが、一人になると急に浮かんでくる。
やっぱり、間違ってたかな。


マンションに着くと、ロビーにはちょうど律先生がいた。

「あれ、絃ちゃん。おかえり。遅いね」


「律先生もおかえりなさい。小麦と一緒に帰ってて。悠は一緒じゃないんですか?」


「悠は今日も仕事休みだよ。ほら、エレベーター来たから乗って」


「はい」



「次の健診ってちょっと早いよね?心臓は俺が帰る前に診ときたいからそれまでに来てね」


「…はい」


「お、自信なさげだね。悠はたぶん一週間くらい休みだから、一緒においで」


「そうなんだ…いつも出張でも、すぐに仕事戻っちゃうから。」


「ん、あぁ、今回は、そこまで長くはないけど負担が大きかったからね。まあ悠は基本家にいると思うから甘えていいんだよ」



私の返事の代わりにちょうど階に着いた。

悠、いるんだ。少なくとも一週間。

そう考えるとなんだか嬉しい。




「「ただいま〜」」


「おかえり!一緒に帰ってきたの?」

「たまたまロビーで会ったの。夕飯なに?」

「鶏肉のトマト煮込み。いとが好きな春雨サラダも作ったよ。用意しておくから着替えて手洗って来な」

「うん」





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