冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
「麗仁くん……、ごめんなさい。麗仁くんを傷つけるようなことを言って、本当にごめん……っ」
麗仁くんはわたしの言葉にばっと顔をあげて、苦しそうに眉をしかめた後、首を横に振った。
「ううん、あやちゃんが謝ることなんて何も……」
「っ何もなくなんてない!」
突然大声をあげたわたしに、麗仁くんはびっくりしたように目を見開いて言葉を切る。
「わたし……わたしは、麗仁くんの側で、麗仁くんのことを支えられる存在になりたい」
その時、強い風が吹いて、暗がりの中に月明かりが差した。今まで闇に満ちていた路地裏がぼんやりと霞んだ光を纏う。
月の光に照らされた麗仁くんの長い睫毛が小刻みに震えている。
「……っ、あや、ちゃん」
麗仁くんは今にも泣きそうな顔をさらに歪めて、わたしに抱きついた。
そして強く強く抱きしめられる。
肺が圧迫されて、息ができないほど。だけど今は、その窮屈さに涙が溢れそうになる。わたしは麗仁くんの背中に恐る恐る手を当て、そっと抱きしめ返した。
「ありがとう」
その日見た麗仁くんの顔は、今にも壊れそうなほど苦しげで、だけど嬉しそうで、消えてなくなってしまいそうなくらい、儚かった。