冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
孤高な彼の幼少期【麗仁side】


おれはこの街の皇帝を引き継ぐ者として生まれた。


その頃、東ノ街は毎夜夜の人間同士の争いが絶えず、それは昼の街にも及ぼうとしていた。



“昼の間だけは安全で、平和に生活していられる。”



東ノ街に住む昼の人間の常であったはずのその言葉は、徐々に怪しく不安定なものへと変わっていった。


麗仁の父親である飛鳥馬 馨(あすま かおる)は、麗仁が皇帝の位に着く前まで、この街の統率者であった。彼はこの街の住民を力で支配しない体制を望んだ。


つまり、恐怖による服従心ではなく、力も争いも存在しない、ただ皇帝を崇め尊敬する忠誠心を住民たちに要求したのだ。


しかし、それは思わぬ悲劇をもたらした。


これまで代々受け継がれてきた力と恐怖で住民をねじ伏せ、支配する体制を敷いてきた飛鳥馬家の新皇帝が、まるで惨憺たる過去をなかったことのように綺麗事を語りだしたことが多くの住民の逆鱗に触れた。


街には時間も場所も問わず暴動が瞬く間に蔓延していった。麗仁の父親は決して無能ではなかったけれど、一度の過ちで東ノ街を壊滅状態に追い込んだ。


そんな中、飛鳥馬馨は暴動を鎮めるため皇帝の位から退き、代わりにまだ幼かった自分の息子──麗仁を皇帝の座に立てた。

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