冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
「……っだれかに、こんなふうにプレゼントをもらったことが、なかったから」
しゃくりあげて泣くおれを、彩夏は心配そうな目で見つめ、そっと抱きしめてくれた。
柔らかでどこまでもやさしい彼女の腕のなかで、おれは気が済むまで泣き続けた。
───おれにこんなふうに見返りを求めず何かをくれたのは、君が初めてだった
𓆸 𓆸
「飛鳥馬様、こちらのバラはどうされたのですか?」
腫れた目を隠すために顔を本で覆って椅子に沈み込んだままのおれに、部屋の見回りをしていた真人が訊ねてきた。
「……彩夏からもらった」
「……!それは、よかったですね。飛鳥馬様のお部屋に入った時から暗くて重たい部屋がいつもより幾分明るいなと思っていたのです。七瀬様からのバラのおかげでしたか」
おれは本を少しだけずらしてバラを眺めている真人を覗き見る。
いつも何を考えているか読めないこの男も、美しいバラの前では相好を崩すらしい。
「しかし……9本のバラということは」
真人が何か考え込んだ様子でじっとバラを見つめている。
「何だよ」
それはおれが彩夏からもらったものだ、そんなにジロジロと見つめんなよ。
そんな反抗心を抱えて尖った声でそう言うと、真人は真剣な目で唐突におれを射抜いた。