冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
その手の中には、真紅に染まった可憐な赤いバラが9本、おしゃれな花束の包み紙に包まれて華々しく咲き誇っていた。
おれは目を見開いて、一瞬心臓が止まったと思うほどに驚いて、そして心臓がありえないほど大きく鼓動を速める。
「っ、……これを、おれに?」
どうしよう。
動揺を隠せない。
彩夏の前ではいつも余裕のある格好いい姿でいたいのに、今ばかりは平静を装えない。
「うんっ!りとくんにあげる」
目の前で満面の笑みを浮かべる彼女は、おれにとって、太陽よりも眩しい世界で1輪だけのひまわりのような女の子だ。
「……ありが、とう」
声が震える。
目の前が涙でぼやけて霞んでいく。
彩夏から差し出されたバラの花束をそっと受け取る。
バラの鮮やかな香りが鼻腔をかすめた時、おれは自分が泣いていることに気づいた。
「っ、りとくん、どうして……」
───どうして、泣いてるの?
“悲しいの?”
いや、違う。そうじゃない。
“じゃあ、……どこか痛いの?”
それも、違う。
“……っ、あやかがあげたお花、嬉しくなかった?”
っ、それは絶対に違う!!すごく嬉しい。胸が張り裂けそうなくらい嬉しくて、幸せなんだ。