隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「え……?」


 全部見透かしてしまいそうな朔耶の澄んだ目に、ドキッとする。


「泣きそうな顔」

「え……、ええ……? いや、そんな泣きそうな顔って……あはは」


 あれ? おかしいな、わたしいま、笑ってるよね?


「何言ってるの~、」


 そしてフラッシュバックする。 まりか先輩の恥ずかしそうな仕草、上ずった声、恋してる顔。

 今頃まりか先輩は優成といて、告白している。

 あんな可愛い人の告白を、断る人なんてきっといない。


「っ……、」


 ずっと目の奥の、奥の方にとどめていたはずの涙が、ホロ、と一粒、零れ落ちた。


「!」

「あ、わ、ごめんっ、あれ……?」


 口から出る言葉と裏腹に、頭の中では自分の本音が暴れ出す。

 嫌だ。 嫌だ嫌だ嫌だ。

 優成がまりか先輩の彼氏になっちゃうなんて、嫌だ。

 わたしだって優成のことが好きなのに。


「越谷……」


 朔耶の心配そうな声がする。

 だめだ、止めないと。


「ごめん、ちょっと待って、なんか急に、えっと……あ、昨日の夜に見たロードショーが、泣けるやつで……っ」


 止めようとすればするほど、溢れてくる。


「ごめん……ちょっとだけ……待って……っ」


 顔を押さえて俯いてなんとか気持ちを切り替えようと試みるけど、うまくできなくて、ぽろぽろと零れ落ちていく。

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