隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「ちょろ。 今なら二秒で殺せそう」


 は

 ハニートラップ……!!


「な、な、なん……っ!?」


 顔を熱くさせてあぐあぐする私を、酒々井くんは楽しそうに笑いながら見下ろす。


「死にたくなったらいつでも言って?」


 私は涙目で必死に首を横に振る。


「なっ、らないよ!」

「苦しまずにイかせてあげるよ」

「逝かない! 生きる!」

 
 酒々井くんがクハッと笑いだした。

 それがまた無邪気で、訳が分からなくなる。


「うんうん。頑張って」


 酒々井くんは子供をあやすように私の頭をポンポンして、背中を向けた。


「また明日ー」


 そう言って、手をヒラヒラさせながら駅の改札の向こう側へと消えていく。


「……」


 その背中を見送りながら、力が抜けた私はヨロリと柱に身体を預けた。


 ……前世のことは、もう忘れることにした。


 でも


 色んな意味で、大丈夫かな……!?



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